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東工大 物質理工学院 材料系 H29年度(H30年度用想定問題) II-10 熱力学

【1】東京工業大学大学院 物質理工学院の過去問を自身の勉強のために解いたものです。

【2】必ずしも解答を保証するものではありせん。間違いがある場合があります。

【3】過去問は各自で手に入れてください。

(1)熱サイクルに関する穴埋め選択問題

①ウ:カルノーサイクル、②カ:2→3、③ケ:熱、④キ:3→4、⑤シ:温度、⑥コ:仕事、⑦ケ:熱

解説:

①PVグラフや問題文から等温過程と断熱過程の組み合わせによる熱サイクルであることが分かるため。

②断熱膨張過程ではdQ=0であるために、熱力学第一の法則(dU=dQ+dWin)はdU=dWinと整理できる。加えてdU∝dTであるので仕事(の符号/膨張か圧縮か)によって温度は増減することがわかる。膨張仕事は外界に対する仕事であるのでWinは負であり(つまりWout)、温度は減少する。従って等温過程のTLからTHを結ぶようなPV曲線となる。

カルノーサイクルの向き:1→2→3→4→1です。逆向きは逆カルノーサイクルです。

③断熱しているので熱の移動ができない。

④等温過程はT=const. 従ってPとVの関係は気体の状態方程式(PV=nRT)より反比例(P∝1/V)であることが分かる。y=1/xのようなPV曲線になる。加えてTが大きいとPVも大きくなるのでグラフ上側が高温(TH)での等温過程、下側が低温(TL)での等温過程となる。加えて圧縮過程なので体積が減少する3→4が答え。

⑤等温の字のごとく、温度は一定。

⑥等温圧縮過程より圧縮という仕事が与えられている。

⑦内部エネルギーは温度の関数であり、「dU∝dT」の関係を持つ。等温過程でT=const.ということは内部エネルギーは変化しないということ。熱力学第一の法則「dU=dQ+dWin」見ると、圧縮という仕事が(Win)が与えられている場合、熱は放出されることがわかる。

 

(2)サイクル過程における仕事とサイクル全体の熱効率を求める

①W12=nRTH×ln(V2/V1), ②W23=CV(TH-TL), ③η=1-(TL/TH)

解説:

①等温膨張過程の仕事はPV=nRTを用いて以下のように計算できる。

②断熱過程ではdU=dWinであるのに加えて、内部エネルギーは定積熱容量CVを用いてdU=nCVdTと記述できる。膨張仕事は外界への仕事(dWout)であることを考慮すると、以下のよう仕事が求められる。

③熱効率(η)とは「外界から与えられた熱」でどれだけ「仕事」したかであるので、以下で与えられる。

上図のように断熱過程、等温過程におけるPVの関係を用いて体積比の関係を導出し、代入する。
ポアソンの式(断熱過程における関係式)には下の関係もある。

ポアソンの式の導出過程を以下に示す。

参考文献:

・高校数学の美しい物語, 断熱変化におけるポアソンの式の導出, Accessed:2021/07/30

・東大塾長の理系ラボ, 熱サイクルと熱効率の超解説, Accessed:2021/07/01