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東工大 物質理工学院 材料系 R3年度(2022大修) II-05 熱力学

【1】東京工業大学大学院 物質理工学院の過去問を自身の勉強のために解いたものです。

【2】必ずしも解答を保証するものではありせん。間違いがある場合があります。

【3】過去問は各自で手に入れてください。

オットーサイクルに関する設問

(1)状態Bにおける温度

TB=630 [K],, (6)解説に示す。

解説:

問題文より与えられた、断熱過程における関係式「TVR/Cv=一定」によって求める。求めたいのはTBであるので状態Aから状態Bの断熱過程について計算する。

(2)断熱圧縮過程の仕事

(2)ΔWAB=8.22 [kJ]

解説:

状態Aから状態Bへの変化は断熱過程(dQ=0)であるので、系に対する仕事をwinとして、熱力学第一の法則「dU=dQ+dwin」は「dU=dwin」と整理することができる。ΔWABはサイクル図から圧縮過程であり、系に対する仕事であるので、整理した熱力学第一の法則をそのまま使うことができる(符号的な意味で)。内部エネルギーの関係式「dU=nCvdT」を用いると以下のように計算できる。

※問題文よりn=1 [mol]

(3)定積変化におけるQin

Qin=27.1 [kJ]

解説:

状態Bから状態Cは定積変化であるので、非膨張仕事が存在しないとすると「dw=0」となる。従って、熱力学第一の法則は「dU=dQ」と整理できる。内部エネルギーの関係式「dU=nCvdT」を用いると以下のように計算できる。

※問題文よりn=1 [mol]

ここで、計算にはTCが必要となる。TCは(1)と同様、断熱過程に着目して計算する。

求めたTCを用いてQinは以下のように計算できる。

(4)断熱膨張過程における内部エネルギー変化

ΔUCD=-22.9 [kJ]

解説:

内部エネルギーの関係式「dU=nCvdT」を用いて以下のように計算できる。

(5)熱機関の熱効率

 η=54.2 [%]

解説:

熱効率ηとは、「取り入れた熱を、どれだけ有効な仕事として使ったかの割合」を指す。以下にオットーサイクルのPV図と計算方法図を示す。

〇熱効率は「全ての仕事を足し合わせ、取り入れた熱で除すことで得られる」。仕事は外界に対する仕事の場合(正)、系に対する仕事の場合は(負)である。

〇各状態変化において熱の出入りと発生する仕事について考える。

・状態Aから状態B:断熱圧縮過程, dQ=0, dwin

・状態Bから状態C:定積過程, dQin, dw=0

・状態Cから状態D:断熱膨張過程, dQ=0, dwout

・状態Dから状態A:定積過程, dQout, dw=0

ここで、WCDが-ΔUCDとなるのは、(2)と同様、断熱過程であるため。断熱過程における熱力学第一の法則「dU=dwin」の関係より、外界への仕事は符号が変わって「dwout=-dU」である。

(6)熱サイクルの温度T, エントロピーS図

解説:

TS図は熱力学第二の法則「dS≧dQ/T」を用いて考える。

・断熱過程はdQ=0であるため、dS=0

・定積過程は吸熱(dQin)のときdS>0, 放熱(dQout)のときdS<0

従って、上図が完成する。