【回折結晶学】対称操作 (点群)
【1】東京工業大学大学院 物質理工学院の授業の復習です。
【2】自身の勉強のためのものであり、間違いがある場合があります。
対称操作
結晶や分子における対称操作とは、操作を施した前後で見かけ上変化しないような操作のことを言う。そのため、対称操作を何度行おうとも、分子や結晶は等価な位置にあるままである。どのような操作が対称操作になるのか、結晶や分子で確認することでそれらの対称性を議論することができる。
1-1. 様々な対称操作
1-1-1. 対称操作の記号と操作の説明
記号は左側が「シェーンフリース記号」、右側が「ヘルマンモーガン記号」(国際表記)である。
シェーンフリース記号と国際表記の対応はややこしいが、どちらもよく使われるので対応できるようにする必要がある。
各操作を図で見てみよう(恒等操作は省く)
また、対称操作には対称要素がある。対称要素とは対称操作を行う足がかりになる点、直線、平面のことである。それぞれの対称操作に対応する対称要素を以下に示す。
1-1-2. シェーンフリース記号と国際表記の対応確認 (問題)
Q1:6 bar=S35であることを証明しなさい。
Q2:3 bar=S65であることを証明しなさい。
※国際表記で数字の上にbarを付ける方法が分からないので横にbarと記載。
※シェーンフリース記号の上付きの数字はその操作を行う回数を示している。
1-1-3. シェーンフリース記号と国際表記の対応確認 (解答)
Q1:6 barは「60度回転した後、反転中心を基準に反転」、S35は「120度回転した後、鏡映面を基準に対称移動。この操作を5回を行う」を表している。従って、以下のような操作になる。
Q2:3 barは「120度回転した後、反転中心を基準に反転」、S65は「60度回転した後、鏡映面を基準に対称移動。この操作を5回を行う」を表している。従って、以下のような操作になる。
従って、いずれにおいても同じ結果となった。
1-2. 対称操作の逆
分子や結晶に対してAの操作を行った後、つづいてBの操作を行った時、位置が完全に元に戻り、あたかも何の操作を行わなかったように見えたとする。この時、操作Bは操作Aの逆と言う。これらの関係を式に表すとBA=Eとなる。式に表す際は、約束として後に行う操作を先(左)に記述する。
上図に示すように、例(1)ではσ(m)のような対称操作はそれ自身の逆でもあることがわかり、例(2)ではC43(43)がC4(4)の逆であることが分かる。
参考文献
・Burns[著] 寺内ら[訳], 結晶としての固体, 東海大学出版会, (1998)