【回折結晶学】ステレオ投影図
【1】東京工業大学大学院 物質理工学院の授業の復習です。
【2】自身の勉強のためのものであり、間違いがある場合があります。
ステレオ投影図
1-1. ステレオ投影で対称性を示す方法(図の解釈不安)
ステレオ投影図とは、結晶や分子に対称操作を施した結果を2次元に可視化できる。以下に約束事を示す。
・単位球の中心に結晶や分子を置く(図には描いていない)
・+Z半球内のある点(例:点P)と南極(S)を結ぶ直線がxy平面と交わる点をステレオ投影(例:点P')とする。
・-Z半球内のある点(例:点Q)の場合は北極(N)を用いる(例:点Q')。
・通常、+Z軸方向から観測し、+Z半球内の投影点であれば○、-Z半球内の投影点であれば●でxy平面に記述する。
参考文献
・Burns[著] 寺内ら[訳], 結晶としての固体, 東海大学出版会, (1998)
1-2. ステレオ投影で対称性を表す際に用いる記号
ステレオ投影で対称性を表す際に用いる主な記号を以下に示す(一部)。
※もっと知りたい場合は参考文献からURLを踏んでみてください。
参考文献
・Advanced Certificate in Powder Diffraction on the Web, Symmetry Symbols, Accessed:2022/06/28
1-3. 実際にステレオ投影を用いて対称性を表記してみる。
1-3-1. 水分子の対称性
H2O分子は以下に示すような対称性を有する。すなわち記号で表記するとE(1), C2(2), 2σv(m)の4つである。
位置1を出発位置とすると、E(1)では位置が変わらないため位置1のままとなる。位置1にC2(2)を行うと位置2に移動する。位置1にσv(m)を行うと位置3になる。また位置1にもう一方のσv(m)を行うと位置4になる。
1-3-2. E, C4, C2, C43,2C2', 2C2'', i, S4, S43, σh, 2σv, 2σd, を記述する(ちょっと不安)
位置1を出発点として、各操作を行った際のステレオ投影図を以下に示す。ここで、C2'の回転軸はσv面内、C2''の回転軸はσd面内にあるとする(ともにxy平面内にある)。
・E:位置1から何もしないため。位置1のまま。
・C4:位置1から主軸(4回回転軸)を基準に90度だけ反時計回りする。
・C2:位置1から主軸(4回回転軸)を基準に180度だけ反時計回りする。
・C43:位置1から主軸(4回回転軸)を基準に90度×3だけ反時計回りする。
・C2':位置1からσv面を通る回転軸を基準に180度だけ反時計回りする。σv面でxy平面を通るということは、主軸と垂直であるため、回転することで+Z半球の点(位置1)から-Z半球の点となる。
・C2'':位置1からσd面を通る回転軸を基準に180度だけ反時計回りする。σd面でxy平面を通るということは、主軸と垂直であるため、回転することで+Z半球の点(位置1)から-Z半球の点となる。
・i:位置1を反転させると、左右上下前後が反対になる。
・S4:位置1から主軸(4回回転軸)を基準に90度だけ反時計回りした後、σh面を鏡映面として対称移動させる。
・S43:位置1から主軸(4回回転軸)を基準に90度だけ反時計回りした後、σh面を鏡映面として対称移動させる。これを3回繰り返す。
・σh:σh面を鏡映面として対称移動させる。
・σv:σv面を鏡映面として対称移動させる。鏡映面は主軸を含む面であるから、主軸に垂直に対称移動するはず。そのため+Z半球から-Z半球への移動はないと思う。
・σd:σd面を鏡映面として対称移動させる。鏡映面は主軸を含む面であるから、主軸に垂直に対称移動するはず。そのため+Z半球から-Z半球への移動はないと思う。
※私が不安に感じているのはσvとC2'およびσdとC2''の位置関係です。多分あってると思いますが…。